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体罰についての私見

体罰についての私見

暴力によるしつけの記事を目にしました.
http://cadot.jp/topics/15913.html/1
この記事に関連して,少し体罰についての私見を述べてみたいと思います.

この記事は体罰問題の実態を表すとても示唆に富むものだと思いました.
スポーツ指導者の中には,この記事の人物と同じような考えを持つ人がまだまだいるのだろうなと考えてしまいます.もちろん,新聞記事のようにあからさまにそれを表明したりはしません.
体罰撲滅に関わる教育・啓蒙活動を行ったとしても,届く層と届かない層があります.おそらく,記事の人物は後者の方です.ただ,自分の指導を顧みようとする姿勢を示している点は,ある意味で評価できるかもしれません.

セミナー活動を通して,現場の指導者に体罰問題に触れることもあります.
そのような時,私は体罰を用いた指導が誤りであることを以下の3つの観点から説明するようにしています.

1.体罰は人権を侵害するものであること.
殴る,蹴る行為は人を人として扱っていません.選手の成長を導く活動において,そのような関係性はあり得ません.

2.体罰は練習への動機づけとして効果的ではないこと
体罰で選手の行動が変わったとしても,それは選手が痛い思いをしたくないからです.行動を変えることの本来の意味を理解して行動を変えたわけではありません.そうした子供は指導者の顔色をうかがいながら行動するようになり,主体的に物事に関わることをしなくなります.また,自分でやっているという感覚も持てなくなります.
これからのスポーツ選手は言われたことに対して受け身的に取り組むだけの練習では,それなりのパフォーマンスしか発揮することができません.今は自分自身が主体的にスポーツに関われる自立した選手が活躍する時代です.これからの指導者は正しいコーチングを学ぶ必要があります.

3.今のあなたがあるのは,実は体罰のおかげではなかったということ
「今の自分があるのはあの時の厳しい指導があったおかげ」このような言葉をよく聞きます.確かに,あなたのあの時のコーチは体罰を行っていました.したがって,体罰を受けたことが今の自分によい影響を与えた...と,人はこのような考え違いに容易に陥ってしまいます.しかし,少し考えてみましょう.あなたの気持ちを鼓舞し,あなたを奮い立たせてくれたのは「体罰をするコーチ」ではなく,「熱い気持ちで接してくれるコーチ」だったのではないですか?
コーチの行動はいくつもの側面を持っています.大切なのはあなたに影響を与えてくれたコーチを全体として捉えるのではなく,部分として捉え直してみることです.そして,あなたのコーチングにそのよい側面だけを採用することです.

さて,私たちはこれまでに起こったいくつもの体罰事件から,本気で学ばなくてはいけない時期に来ています.

体罰で人を動かすことはたやすいかもしれません.しかし,そこで行動が変わったとしても,それは体罰を行う側に対する脅威が原動力です.尊敬する指導者が体罰を行うのならば,選手はそれがよい指導であるとの認識を持つでしょう.そして,そうした選手が将来指導者となったとき,やはり体罰を用いて指導を行うこともあるでしょう.体罰が選手にもたらすものは「意志に乏しい行動」と「誤った価値観の継承」です.

私たちはスポーツに育ててもらいました.そして今度は私たちがスポーツに恩返しをする番です.今あるスポーツをさらによいものにして,次世代に伝えていくという使命感を是非持ちたいものです.

Sport for Kids Japan 代表
渋倉崇行

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