私たちはスポーツを通じて青少年をどこに導こうとしているのか?!(2)

青少年がスポーツ活動を行う場として,学校運動部活動やスポーツ少年団などがあります.
これらの活動を統括する諸団体によって,適切なスポーツ指導の実現に向けたいくつかのガイドラインが示されています.
例えば,文部科学省は,運動部活動を行うことによって次のような効果があることを指摘しています.
それらは,「体力」,「他者を尊重し共同する精神」,「公正,規律,克己心,実践的な思考力」などを高めたり,育んだりすることができるということです.

また,日本スポーツ協会は,スポーツが「身体を動かすという人間の本質的な欲求を満たすもの」であり,「人生をより豊かにし生きる喜びをもたらす」とともに,「人間が社会で生きていくための基本となる能力を身につける」のに有効であると述べています.
ガイドラインに示されたこれらの記述から,青少年スポーツの「意義」としては,総じて次のようなことが言えると思います.
それは,スポーツは青少年の身体,精神,社会にわたる様々な成長を促すということです.

「身体的成長」は比較的,目に見えてわかりやすいものです.
運動することによって「筋肉」や「骨格」が発達し,「体力」もついてきます,
そして,病弱ではない「丈夫な体」も培われます.

「精神的成長」の観点からは,スポーツ活動に参加することによって,その「楽しさ」や「喜び」を味わうことができるようになります.
また,自分自身への肯定的な評価である「自尊心」や「有能感」,さらには,社会で生きていくために必要な技術や能力としての「ライフスキル」を養うこともできます.

「社会的成長」は人間関係に関わる成長のことです.
これもスポーツ活動に参加することによって,「共同」することや仲間に対する「思いやり」,そして「尊重」や「公正」の態度を養うことができます.
また,周囲の人々と交流することによって社会性を育むことも大いに期待されます.

このように,青少年はスポーツ活動を通じて様々な成長を遂げることが期待されます.
このことから考えると,私たちコーチの役割は,スポーツを通じて青少年の身体,精神,社会にわたる,トータルな意味での「人間形成に寄与すること」にあると言えそうです.

ところで,アメリカには「アスリーツファースト・ウイニングセカンド」という言葉があります.
これはアメリカで広く流布している「米国スポーツ教育プログラム」の標語です.
そして,それが意味するところは「重要なことは,何人の若者を人生の勝者とする助けができるかであり,どのくらい試合に勝つかということではない」ということです.
ここでも,重要なことは選手の「人間形成」であって,目の前にある試合の勝敗がそれよりも先に来ることはないということが表現されています.
このようなことから,青少年スポーツの「意義」については,アメリカにおいても日本と同じような考え方であることがわかります.

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